華とじぃじの中学受験

架空の公立中高一貫校「早乙女中学校・高等学校」を受験する女の子と祖父の物語

華・やる気スイッチを見つける その1

   

「ア゛~~」
「あっつー」

ハルトはじぃじの道場(通称「朝ごはん塾」)の扇風機の前に陣取って、自分の声が扇風機の風でふるえるのを聞きながら、生ぬるい風を浴びています。

華は右手に鉛筆、左手にうちわを持って、パタパタながら勉強していますが、さっぱり進んでいないようです。

黙っていても額に汗が浮かび、汗で塗れた髪の毛が額にくっついています。手の甲に浮かんだ汗でプリントがヨレヨレになっています。Tシャツは汗でぐっしょりと濡れ、肌に貼りついています。

「じぃじ、エアコンは」
「んなものはない」

じぃじが即答します。

「せんせー、汗で濡れて力が出ない・・・」
「アンパンマ~ン、新しい顔よ~ってならんわな」

じぃじが間髪入れずにノリツッコミを入れてきます。

いつもでしたらじぃじの道場は涼しい風が通り抜けるのですが、今日は風が全くなく、その上真夏日で気温はぐんぐん上昇しています。

冷たい飲み物を飲んだり、アイスを口にするなどして涼を取るのもいいのですが、お腹を下してしまうこともあるので、一日に何度もできません。

「ちっと待ってな」

じぃじはそう言うと、冷たい「おしぼり」を二人に渡しました。

華とハルトはおしぼりを額に当てると、

「つめた~」
「うひゃ~」

と声を上げました。

おしぼりは硬く絞った状態で凍らせてあります。二人は少しずつ溶かしながら、ほどきながら体のあちこちにおしぼりを当てて行きました。

「首筋とかワキの下など、太い血管が走っているところを冷やすといい。血液は体中を循環しているから、血液を冷やせば身体全体の温度が下がるんだな。」

華とハルトは、冷たいおしぼりを首にあてがったり、ワキの下に挟みました。

だんだん汗が引いてくると、二人に集中力が戻ってきました。

じぃじが工務店を経営していた頃、若い職人が暑さで集中力が途切れ、ケガをしないように行った工夫、それがこの「冷たいおしぼり」なのです。

はな は なつのあつさ で しゅうちゅうりょく が とぎれた!
はな は つめたいおしぼり で しゅうちゅうりょく をとりもどした!

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