華とじぃじの中学受験

架空の公立中高一貫校「早乙女中学校・高等学校」を受験する女の子と祖父の物語

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華・テレビを封印する

      2017/03/01

「じぃじ・・・テレビないの?」

生活に必要な荷物を置いて、一息ついた華がじぃじに尋ねました。

「んなものない」

じぃじはあっさり答えます。

「ねぇじぃじ、『ぼんやり~なテレビ』だけ見に帰っちゃダメ?」

それは地元商業高校出身の漫才コンビが司会をしているローカル番組で、華は毎週楽しみに観ていたのです。

じぃじは「ハッハッハ」と大笑いすると、華にこう言いました。

「華、仮にな、10年後もその番組をやってたとしてな、お前は10年後もそのテレビを見てるか?」
「ううん、見てないと思う。」

華はじぃじの言葉に素直に答えます。

「そうだろ?ゲームでもマンガでも同じでな、10年後も夢中になって見てるかどうかなんだ」
「ふーん、でも何で10年後なの?」
「10年後な、華は素敵なレディになってるだろ?素敵なレディになった華がな、テレビだのゲームだのマンガだの、夢中になってたらな、おかしいだろ?」

華は10年後の自分の姿を思い浮かべました。

10年後の華は、大学を卒業して建築会社に入り、建築士としてパソコンで建物の設計図を書いています。

画面には難しい構造計算の数式が並び、材料の形や寸法、どこにどんな力がかかるのかが矢印で表示されています。

「華?」

じぃじに呼ばれ、華は妄想の世界から戻ってきて、じぃじにこう言いました。

「じぃじ、華ね、テレビなくても大丈夫!」

その言葉を聞いて、じぃじは「ニヤッ」と笑いました。

はな は じゅけん まで テレビ を ふういん した!

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