華とじぃじの中学受験

架空の公立中高一貫校「早乙女中学校・高等学校」を受験する女の子と祖父の物語

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華・作文に苦労する その5

      2016/11/09

夏休みの宿題の「読書感想文」を書き終えた華とハルトは、作文に対してすっかり自信をつけました。

作文の楽しさに目覚めた華とハルトに、じぃじは

「交通ルールはなぜあるのでしょうか?交通ルールを守らないとどうなるのかな?」
「小さい子が泣いていました。どうしたらいいですか?」
「食事のマナーってなんだろう。自分が経験したことを書いてみよう」

このような「本日のお題」を次々と出してくれました。

華とハルトは最初から100点を取ろうとせず、70点位の仕上がりでじぃじに提出します。

じぃじは太い赤鉛筆で訂正箇所を書いて、華とハルトに返してくれます。

華とハルトはそのたびに、直された所を1枚の紙に箇条書きで書いておきました。

・文の最後は「です。」「ます。」で統一する。
・話し言葉ではなく書き言葉で書く。
・文章の前後がつながるように書く。
・くどい表現がないかを見直す。

華とハルトはこのようなリストをそれぞれ作り、作文を書き始める前に目を通すようにしました。

すると不思議なことが起きました。

赤鉛筆で修正され、真っ赤になって返ってきた原稿用紙が、だんだん直されるところが少なくなってきました。

書き直す回数も、3回から2回、2回から1回と、だんだん回数が減ってきました。

こうなると作文が楽しみになってきます。

華とハルトは競うようにして、夢中になって作文に取り組みました。

そして1ヶ月が過ぎたある日。

二人の作文を読むじぃじの顔を、華とハルトがじっと覗き込んでいます。

じぃじは太い赤鉛筆を持ったまま、華とハルトの作文を何度も読み返しています。

じぃじは難しい顔をして二人の作文を読んでいましたが、その顔がふっとゆるんで、いつもの優しい顔になりました。

華とハルトは、ドキドキしながらじぃじの顔を見つめています。

また書き直しなの?
それとも「ニヤッ」?

じぃじは太い赤鉛筆を置き、二人の作文を手に取って立ち上がると、道場の神棚の方に行きました。

じぃじは三方に原稿用紙を乗せ、神棚の前で正座すると、二礼、二拍手、一礼しました。

「パンパン!」と、手を打つ大きな音が道場に響き渡ります。

華とハルトはいつのまにか正座していました。

じぃじは華とハルトの顔を交互に見つめると、満面の笑みで親指をグッと突き出して見せてくれました。

それは弟子がじぃじに、会心の演武を見せてくれた時の、じぃじお得意のポーズでした。

はな は さくぶん が とくい に なった!

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