華とじぃじの中学受験

架空の公立中高一貫校「早乙女中学校・高等学校」を受験する女の子と祖父の物語

*

華・塾に体験入学する

      2016/09/07

「オトメ中模試」の結果が届きました。

結果は「C判定」でしたが「模試は失敗を経験するためにある」というじぃじの教えを理解していたので、華はあまり結果については気にしませんでした。

全国公立中高一貫校の過去問と同様に、模擬試験で弱点を見つけては淡々と潰す、ただそれだけを淡々と行いました。

ちなみにイジワルなアヤネはA判定、幼なじみのハルトはB判定でした。

オトメ中模試を主催した塾から、結果と一緒に「体験入塾案内」が同封されて来ました。

華の成績に不安を感じたママ・夏菜は、華と一緒に体験入塾の説明会に参加することにしました。

それを聞いたじぃじも「おっ、行くか」と言ってついてきました。

塾はアヤネが住む高級住宅街にあり、5階建てのビル全部が塾になっています。

子供達の自転車が整然と並び、各教室からは先生方の熱心な指導の声が聞こえます。

「オトメ中に絶対受かるぞ~っ!」「オーっ!」
「オトメ中一期生になるぞ~っ!」「オーっ!」
「ファイ!」「オー!」
「ファイ!」「オー!」
「ファイ!」パチパチパチ

6年生のオトメ中受験特別クラスから、ものすごい声が聞こえてきます。

どこで揃えたのか、全員同じ服を着て、同じ色のハチマキを締めて、拳を振り上げて、大声で気合を入れています。

華はその中の一番前の席に、アヤネの姿を見つけました。
そして一番後ろの席にいるハルトの姿も見つけました。

ハルトは華と目が合うと、恥ずかしそうにして目をそらしました。

「華、あの中に入りたいか?」
「ううん、絶対入りたくない」

じぃじの問いかけに、華がすぐに答えます。

「よしっ、もう十分だ。華、帰るぞ。」

そう言ってじぃじはさっさと塾を出て、歩き始めてしまいました。

「ねぇじぃじ、すごい気合だったね。」
「あんなもん、父兄向けのパフォーマンスに過ぎん。」

「アヤネもハルトも、同じ服着てたね。ハチマキもしてたし」
「あれで受かるなら苦労せん」

じぃじは塾でみた光景をバッサリと切り捨てます。

「じぃじ、説明会は聞かなくていいの?」
「説明会は夏菜さんに任せておけばいい。
土曜の1コマだけ取って、
テキストと問題集だけもらってくればいい。
実際には通わんでもいいぞ。」
「???」

塾に入るけど、通わない。

華はじぃじの言葉の意味が分かりませんでした。

はな は じゅく に にゅうじゅく した!
だが かよわなくていい と いわれてしまった!
はな は こんらんした!

 - 華とじぃじの中学受験