華とじぃじの中学受験

架空の公立中高一貫校「早乙女中学校・高等学校」を受験する女の子と祖父の物語

華・貧血で倒れる

      2016/02/13

プルップルップルッ♪

道場の電話が鳴りました。じぃじは読んでいた本を閉じ、すっと立ち上がると、電話を取りました。小学校の先生からの電話でした。

「華さんが朝会で倒れたので、お迎えにきて頂けないでしょうか」
「それはご迷惑をお掛けしました。すぐに伺います」

じぃじはそう言うと、小学校に向かいました。

春休みも終わり、6年生になった華が登校した初日。暖かい日が続いていて、桜がもうすぐ咲きそうです。柔らかい日差しを浴びながら、じぃじはノンビリと歩きます。道行く人が「先生、お出かけですか?」と声をかけます。じぃじは「おっ」と片手を挙げつつ通り過ぎます。

小学生の足なら10分で到着する小学校ですが、じぃじは20分かけてゆっくりと歩きました。

この辺りは昔から「虹色地区」と呼ばれていて、商店街のシンボルマークも虹になっています。最近になって、商店街が「レインボー商店街」と名前を変えたのです。華が通う小学校も、壁には大きな虹が描かれていて、通称レインボー小学校と呼ばれています。

じぃじは慣れた様子で保健室に向かいます。保健室の先生とも顔なじみで「おっ」と片手を挙げて保健室に入り、ベッドに向かいました。

ベッドの上には、青白い顔をした女の子が横になっています。メガネをかけて、髪を三つ編みにして、6年生にしてはちょっと小柄な女の子。この女の子が物語の主人公の華(はな)です。

「華ちゃん、先生が来てくれたわよ」

保健室の先生が華にそっと話しかけると、華は目を開けました。じぃじと目が合うと「じぃじ・・・また倒れちゃった・・・」そう言って泣き始めました。

「華、気にするな。校長の話が長すぎるんじゃ。さ、帰るぞ。起きられるか」じぃじはそう言うと、華を助け起こして、まだ泣いている華に上靴を履かせてあげました。

華とじぃじは、ランドセルを取りに一旦教室まで戻ります。華は教室に近づくと「自分で取ってくるから、じぃじは待ってて」そう言って小走りに教室に入りました。

体育の授業でしょうか。誰もいない教室に華は自分のランドセルを取りに入ります。華の机の上には、破ったノートに描かれた、華の似顔絵が置いてありました。その似顔絵には黒い枠が描かれ、まるで遺影のようです。華はじぃじに見られないように、その似顔絵を急いで隠すと、教室の傍で待っていたじぃじのところに戻りました。

華は泣きそうになるのを必死でこらえながら、じぃじと一緒に帰りました。帰り道、じぃじは一言もしゃべりませんでした。華も泣くのを我慢していたので、一言もしゃべりませんでした。じぃじは厳しい顔をしていました。華が何も言わなくても、じぃじには小学校で何が起きているのか、感づいていました。

はな は がっこう で たおれた!
はな は なきだした!
じぃじ は なにか を さっした!

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