華とじぃじの中学受験

架空の公立中高一貫校「早乙女中学校・高等学校」を受験する女の子と祖父の物語

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華・遠くからコツコツと その2

      2017/05/03

「人は『差』を楽しむために生まれてくる」

じぃじのその言葉は、華の心に引っかかりました。

「富士山に登るとしよう。
頂上に立つためには、華だったらどうする?」

「う~ん、電車で近くまで行って、そこから歩いていく?」

「そうだな。まずは電車やバスで富士山の近くまで行って、そこからは歩いていくしかないな。それが普通だ。」

華はウンウンとうなずきます。

「でもここで、頂上まで一直線のエレベーターやエスカレーターがあって、それを使って行く人もいるとしたらどうだ?」

「えーっ、ずるーい」

「わっはっはっは、そうだな。ずるいよな。じゃぁヘリコプターで頂上に降りて、頂上で写真を撮ったらまたヘリコプターで山を降りる人がいたらどうだ?」

「えーっ、一歩ずつ歩いていくから『登山』なんでしょう?」

「確かにそうだ。でも『頂上まで登る』という目的は達成しとる。」

華はう~んという顔でじぃじの話を聞いています。

「逆にな、富士山からものすごく遠いところから歩き始める人もいるな。急な斜面を選んで登る人もいるし、時間をかけてなだらかなコースを登る人もいるな。」

「私はそっちかも!」

華の答えに、じぃじはニコッとしてうなずきます。

「『頂上に立つまでの早さ』を考えればな、ヘリコプターで飛んでいくのが一番早いだろう。大した準備もいらんし、時間もかからん。ヘリコプターから眺める富士山はまた格別だろうな。」

華は複雑な表情でじぃじの話を聞いています。

「じゃぁ『頂上に立つまでに目にしたお花の数』だったらどうだ?赤い花、紫色の小さな花、足元に咲く黄色い花。色々目にするだろ?そういうのを眺めながらの登山もまた、格別じゃないか?」

華は「あっ、そうか」という表情でじぃじを見つめます。

「背負って歩ける荷物にも限界があるから、自然と『何を持って行くか』じゃなくて『何を持って行かないか』を考える、つまりダンドリ力が身に着く。ヘリコプターで登山する人には分からんだろうな。」

華は目を輝かせてじぃじの話を聞いています。

「人はな、生まれながらにして『差』があるんだ。それをな『嫌だ』とか『ずるい』と思うんじゃなくて、『楽しむ』んだな。どんな時でも楽しむ。そうすればな『差に感謝』できるんだな。」

「わかった!景色を楽しみながら登るね!」

華がそう言うと、じぃじは「ニヤッ」と笑いました。

はな は とおくからこつこつと あるくことにした!
はな は 「さ」 を たのしむことにした!

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